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世界遺産 日光大紀行(87)日光の名所 「イタリア大使館別荘公園」
イタリア別邸
中禅寺湖の東海岸には、隠れた名所・・?がもう一つ、今は使用されていないイタリア大使館別荘あり、建物同時に公園としても整備されている。
イタリア大使館別荘記念公園は、立木観音前の歌ヶ浜駐車場から凡そ1km、徒歩で15分ほどのところである。
イタリア大使館別荘の建物は、アメリカの建築家・アントニー・レーモンドの設計により、昭和3年に建築された年代もので、内・外装はスギの皮で装飾され、日本のスギと西洋建築が不思議に調和した素晴らしい建物である。
外観で目を見張るのは、外壁の市松模様(格子模様の一種で、二色の正方形(または長方形)を交互に配したチェック柄の模様であるである)が杉板と杉皮を交互に使っており、寄木細工のようである。 又、室内の壁、天井も杉板・杉皮によって幾何学模様に張られていて、天井板にも杉が使われている。
別荘生活は、真夏はともかく概ね暖炉に火を欠かさなかったため、杉皮は乾燥して持ちがよかったとされている。
建物は大使館別荘として長い間使われてきまが、平成10年に栃木県がイタリア国から買収し、改修工事を経た後、記念館としてオープンしたものであった。
この記念公園一帯は豊かな森に囲まれた閑静な地域で、大使館別荘本邸は勿論、旧副邸は中禅寺湖畔のリゾートの原点を紹介した「国際避暑地歴史館」としても公開されている。
周辺は湖畔景観を楽しめるよう、湖畔に向いた木製のベンチやデッキなどが絶妙に配置されており、東照宮近くに最オープンした田母沢御用邸記念公園(※)とはひと味違った奥日光の美しさの粋を巧みに演出している。
更に、建物の美しさを引き立たせる周辺の森の美しさや、中禅寺湖の静かな波の音など、日光の中でも第一級の素晴らしい施設であり自然であろう。
(※) 日光出身で明治時代の銀行家・小林年保の別邸に、当時、赤坂離宮などに使われていた旧紀州徳川家江戸中屋敷の一部(現在の三階建て部分)を移築し、その他の建物は新築される形で、明治32年(1899)に大正天皇(当時 皇太子)のご静養地として造営されたもの。
ところで、中禅寺湖畔は明治時代から西洋人の避暑地となっていて、湖の周辺には各国大使館の別荘が建てられていた。
二荒山・中宮祠より湖岸を西に500mほど進むと、湖岸に「西六番別荘」という別荘跡があって、戦前はグラバー邸別邸など西洋人や上流階級の別荘があったところであり、中禅寺湖の遊覧やマス釣り等を楽しんだ社交場であり、クラブハウスであった。
当時は、真夏になると避暑のため大使や外交官、その家族、そして時には日本の外交官も加わって、中禅寺湖畔はさながら日本の外交サミットの如く呈していたとも言われる。
その後、先の大戦を挟んで一時は寂れ、或いは火災などにより消失したりして、現在は園地となっているが、建物の一部や暖炉の煙突などとともに敷地だけが残っている。
中禅寺湖畔には、現在もフランス、ベルギー、イギリス大使館別荘がある。
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