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世界遺産・平泉(24)  「平泉の懸念と課題」 . 



 

平泉にとって、世界遺産に登録されるということは、東北地域に何らかの関係を有する者にとって、大変嬉しいニュースである。


大震災(2011年3月11日)から1年過ぎた先般、平泉町の中尊寺は奥州藤原二代基衡の命日に合わせ、東日本大震災で犠牲になった人たちの追悼法要を行った。
初代清衡の非戦平和の精神を引き継ぐ梵鐘が10年ぶりに突かれ、本尊と奥州藤原四代に経を上げ、犠牲者の冥福と行方不明者の無事、早期の復興を祈念したという。
菅野執事長は「経験したことのない災害。不幸にして亡くなった人の冥福を心から祈る。復興へは時間がかかると思うが、支援したい」と述べた。



平泉町の懸念

平泉は、世界遺産に認定された現在でも、明らかに環境破壊や景観の喪失が無作為、無意思のまま進められているともいわれる。
芭蕉が「夏草や・・」、と詠んだ政庁・柳の御所近くには環状道路のバイパス工事の計画され、金鶏山に隣接して宅地造成工事が行われていて、所謂、柔和な自然や文化の痕跡が次第に削られ、それが20年も続いていて自然環境は最悪になってきているともいう。 

又、毎年美しく咲いていた樹齢100年以上の柳の御所の枝垂れ桜も枯れてしまい、このことは、かっての麗しき平泉も今はすっかり「潤い」というか適度な湿り気が無くなってしまい、生命を育むことができなくなったと言われる。
「潤い」とは、文化そのものだ・・!、とある地元の識者は嘆く。

更に、現在の平泉の環境と景観について、普通にに判断するならば、これは「乱開発による人類普遍の遺産を保護する」といった世界遺産条約の理念に反しているのではないかと、懸念の声もある。



平泉の課題

何処もそうであろうが、世界遺産に認められた平泉は、ただ観光や見物もさることながら特に、歴史的にも学ぶべき点が多い。 現在、中尊寺だけを訪れて、1時間前後で町を後にする人々や観光ツアーさえもあるという。
だが、往時の平泉を伝える史跡は勿論、町内のほか一関市や奥州市にも点在するし、藤原清衡の培った「平泉」を理解してもらうには、少しでも多くを見て、街を歩いてもらうのが望ましいのである。


世界遺産に認定された行政区域である平泉町は、県内で最も小さな自治体である。 
小さな町域のため大きなホテルなどの宿泊施設はなく、泊まれるのは一日せいぜい400~500人ともいわれ、観光客は数時間だけ滞在し、後は花巻や仙台に向かってしまう。 所謂、通過型観光地であるともされる。
しかし、新たに宿泊施設や観光施設を設立するためには、財政に大きな負担がかかってしまうことも予想され、近隣の市町村等との連携などの地域活性化していく必要がある。
無論、平泉自体が世界遺産に登録される以前から名の知れた観光地であり、世界遺産として登録されたとしても、観光客の増加の変化があまり見られないか、一過性のものになったりする可能性もあると関係者は思案している。

こうした発想を踏まえ、滞在型の施設や旅行会社への積極的企画などの推進も必要であろう。
それに、世界遺産となった平泉を理解してもらうための努力、藤原三代の思いを世界に伝えるために必要なことの模索、例えば、リピーターの確保や周遊ルートの確立などの思い切ったPRが必要であろう。


頑張れ・・!!、平泉
頑張れ・・!!、東北
頑張れ・・!!、日本
来てくんちぇ・・!!、世界の人々 
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追筆

大震災から1年経過した2012年(平成24年)のGW(ゴールデンウイーク)には、連休初日からJRや観光各社の大型観光企画などによって、中尊寺や毛越寺などの遺跡に人の波が耐えなかったという。
平泉や周辺観光地には、県の観光担当部によると震災前の同時期とに比べると2~5割増し。
又、平泉町の調べでは同町内地区の観光客は昨年同期の10倍にも達していると、嬉しい悲鳴で、町は、「この勢いが続けば、年間訪問者数は過去最高になるのでは」と驚きを隠さない様子だとか。


次回、「世界遺産・平泉





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